肩を体の前に出すことにも繋がる話だが、そもそも筋肉に力を入れるとは収縮させることである。
例えば直突きをした際に胸筋に力を入れると、拳の位置は自分の体に近くなる。
胸筋が収縮することで腕を引っ張るからである。
例えば五十四歩小の5、6挙動目の二本突きは、ほとんどの人が腕が短く見えてしまうが、それは胸筋や腕に力を入れており、収縮し、腕を体の方に引っ張るからであろう。
要は、私たちが力を入れた際には、自分の体の方にその部位を引っ張るということを意味する。
体の前面である胸筋に力を入れたら、前に伸ばした手を体側に引っ張るため短くなる。
ということは、逆に体の背面である肩甲骨に力を入れたら、肩は前面に引っ張られるのではないだろうか。
よく肩甲骨から突けなどのように言われるが、これはつまり体の背面に力を入れることで腕が前に伸びることを意味するのではないだろうか。
また、これにより体の背面から力が伝わるため、普通に突くよりも力が伝わりやすいのではないだろうか。
江上 茂先生が、その師匠である船越先生たちの突きは、力を入れていないのに凄く強かったとおっしゃっていたようだが、これはもしかすると相手に当たる拳であったり体の前面は力を抜き、体の背面に力を入れていたのではないだろうか。
脇を締めるというのは、日本空手協会においては基本中の基本である。
脇を開けてしまうと、例えば突きで言えば腕の外側である小指のラインに力が入ってしまい、これでは腕の筋力しか使えず、体幹の力が伝わらないからであるが、脇を締めると胸筋に力が入り、腕が後ろに引っ張られてしまう。
肩は、力を逃がさないために上げてはいけないが、実は脇は締めてはいけないのではないだろうか。
肩甲骨に力を入れるというか、締めるというか、それが大事で、そうすると脇が締まって見えるだけであり、脇は締めるものではないのでないだろうか。
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