前書き
今回紹介する本は「ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集」(著:石角 完爾 集英社)です。
色々と学びが多そうな興味を惹かれるタイトルですが、読むとイラッとします(笑)
この石角さんは、後書きに「本書では、つい日本人への見方が厳しくなってしまう部分も多々あった」と書いているんだけど、ほんっとーにヒドイのよ。
見事なくらいに不快にさせてくれる本なので、イライラしたい時にオススメの本となります(笑)
とはいえ、やっぱり学びの多い本だったので、幾つか内容を共有させてもらいますね。
今回は、この本の中でも「お金」に関する部分について共有します。
本題
まず一つ目。
金がありすぎると人間は獣のように警戒心が強くなるが、
金が全くないとなりふり構わない本当の獣になる
ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集 P24
まさしく!(笑)
お金を持っていると、財産を失うのがコワくなったり、もっとお金が欲しいと欲望が出てきちゃったりするけれど、
お金がない人・・・正確には余裕がない人は、本当の獣になっちゃうよね。
僕たち日本人は往々にして、お金を持っている人に対してネガティブな感情を抱くことがあるけれど、お金がない人の方が断然危ないし大変だということは覚えておかないといけない気がします。
次は、お金の恵み方について。
人にお金を恵む時は、全員に配ったほうが良い。もらった人が恵んでもらったという惨めな気持ちにならないで済むからだ。
しかし、どうしても一人の人にお金を恵む時は、むしろその人にお金を貸す形を取ったほうが良い。貸し借りは対等だから、借りた方が惨めにならないで済む。
ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集 P43
これは優しさ溢れる考え方だなぁと思って。
借りる相手に恥や惨めな思いをさせないようにという配慮が素晴らしいな、と。
お金をあげるとか奢るっていうのは、自分が優越感を感じるために行ったらアカンよね。
奢ってもらった方が「ラッキー」「嬉しい」と思うならまだいいんだけど、後ろめたい気持ちや借りを作ったと思わせてしまうのだったらNG。
自分が奢られた場合にどう思うか、と、相手の気持ちに立って考えてみるのはやっぱり大事なことだね。
さて、もう一つお金に関する文章を紹介させてもらいます。
繰り返すが、ユダヤ教ではお金は大切なものとして扱う。ないよりあったほうがいい、あれば人生を幸福にするものの一つだと考える。
「貧しくても、清く美しく生きればいい」などと格好をつけることもしない。
ユダヤの人々にとって、貧しいことは単純に「不幸」なことなのである。
ユダヤ人の成功哲学「タルムード」 P63
ユダヤ人は、国家を追いだされ、虐殺され、と本当にヒドイ目に遭ってきた民族だからこそ、キレイごとは言わずに現実的なことを言うんだろうなというのが、この文章からヒシヒシと伝わってきます。
日本人だったら「貧しくても、清く美しく生きればいい」って言葉を聞いて、そりゃ出来ることならば貧しさからは抜け出したいけど、そういう生き方だってそんなに悪くないって感じる人も多いんじゃないかな。
でもね、それは「自分たちの国がある」「平和である」という前提があるからこそ言える言葉のような気がするんだよね。
僕たちが当たり前のように感じている「日本がある」「日本が平和である」というのは、ユダヤ人にとっては全然当たり前ではないわけで、民族による文化と歴史の違いを痛切に感じる一文となりました。
まとめ
ユダヤ人にとっての最大の財産はタルムードという「生き抜くための知恵」とのことです。
これは前述した通り、国家を追いだされたり、虐殺される中で残せるものが知恵しかなかったと言っても過言ではないような気がします。
生き抜くためにお金は必要なわけで、だからこそお金を稼ぐのが上手いとも言えるんだろうけど、この本によると、貯めこむんじゃなくて貧しい人をすごく優遇して、お金に執着しすぎていないらしい・・・(ほんとかねぇ)。貸しても取り立てちゃいけないし、ある一定期間が過ぎたら借金はチャラなんだって。
ちなみに不動産は、所有できるのは五十年までって決まっているらしい。
永久に持ち続けられるものはないという考えが根底にあるような気がします。本当にこういうのって文化の違いだし、歴史の違いだなって思うね。
お金に対しては非常に現実的。キレイごとを言わないっていうのは今の日本人に必要な考え方なんじゃないかなって思いました。確かに日本には「恥」の文化があるけれど、稼ぎ方や使い方が適切ならばしっかりと稼いだ方がいい!という考えが必要だと思うんだよね。
極真空手の東 孝(あずま たかし)さんが昔「強くなければ守れない正義がある」みたいなことをおっしゃっていて、その通りだなって僕は思ったわけです。大切な人が襲われている時、自分が強くなければ守れないこともあるよね。
また、小説家の宮部 みゆきさんの「蒲生邸事件」という小説の中で「ゴメンで済めば警察はいらないというけれど、ゴメンで済むことも多いんだ!」みたいなことを書いててたのよ。
これら両方とも、お金にも当てはまると思うのです。
「お金がなければ守れない正義がある」
「お金があれば解決することも多いんだ」
自分も含めて、大切な人を守るためにもお金に対してもっと現実的にならないとな、と改めて感じさせていただいたのでした。
ってか、本文より「まとめ」の方が長く、まとまってないじゃないか(笑)
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