vol.010 情報に騙されないため

前書き

今の世の中、色々な情報が簡単に手に入るようになりました。
情報の中でも、インパクトのある情報は僕たちの心を揺さぶり、ついつい何も考えずにその情報を信じてしまうこともあるように思います。
そこで今回のブログでは、ニセ情報に騙されないために必要な考え方をヨシに共有させてもらいます。
結論を先に言うと「結論を導いた前提を疑う」ということです。
それでは始めますねー。

本文

この「結論を導いた前提を疑う」というのはどういうことなのか、
今となっては懐かしい「老後2000万円問題」をサンプルに説明するね。

老後2000万円問題って覚えてる?(笑)

2019年に金融庁が発表した老後資金の試算によると、
65歳を迎えた夫婦は毎月5.5万円赤字になるというもので、
それはつまり、年間で66万円(5.5万円×12か月)、
30年間生きるとすると2000万円足りない(5.5万円×12か月×30年)。
これを受けて、当時の50代や60代の方を中心に騒ぎ始めたというのがこの問題の概要。

ちなみにこの2000万円問題って、今どうなっているか知ってる?

普通に考えれば
「日本は全然収入が増えてないんだし、今だって2000万円足りないに決まってるだろ!
 むしろ物価が高騰しているからもっと足りなくなってるんじゃない!?」
と考えてもおかしくない、よね。

ところが結論は・・・
「なくなりました」
なのです!

!?!?!?!?!?

この老後資金の試算って毎年出されているんだけど、
2017年のデータを用いて試算した場合には、2000万円足りなかったものが、
2020年のデータを用いて試算した場合には、1500円足りない、に変わったんだって。

・・・1500円じゃありません、1500円です。
ちょっと高めのランチを一食抜けば問題ないレベルになった、と言えます。

狐につままれたような話に聞こえるけど、
毎年の試算でこれだけ数値が変わってしまうらしいのです。

なので、3000万円足りないという試算が出てくる可能性もあるので、
貯蓄をしなくていいんだなという意味ではない。
だから、ここは勘違いしちゃアカンよ。

でも、これだけ数値がブレるのってそもそもどういうことか分かりにくいと思うので、
分かりやすいかどうか分からないけど、違う例で説明してみます。

例えばヨシがサラリーマン、僕がギャンブルで生計を立てているとして、
この二人の平均年収を毎年算出するとします。

2017年にヨシは1000万円、僕は2000万円稼いだとすると、平均は1500万円(1000+2000 ÷2人)
2018年にヨシは1000万円、僕は400万円負けたとすると、平均は300万円(1000-400 ÷2人)
2019年にヨシは1000万円、僕は5000万円稼いだとすると、平均は3000万円(1000+5000 ÷2人)

ヨシは毎年安定的な収入なのに対し、僕がギャンブルにより超不安定な収入だった場合、ある年は1500万円、ある年は300万円、ある年は3000万円と、こんな感じで平均年収は毎年バラバラな金額になるよね。
これと同じようなことが、毎年の老後資金の報告で起こってるんだって。

つまり、ここから分かることは、

老後2000万円問題の『2000万円』という数字、僕たちの生活に全然マッチしてないし
参考にすらならない!

ということです。

そもそも、毎月5.5万円足りないという試算だけれども、
生活スタイルって100人いれば100人とも違うわけです。

  • 結婚しているのか、独身なのか
  • 共働きなのか、どうなのか
  • 持ち家なのか、賃貸なのか
  • 子どもはいるのか、いないのか
  • 親御さんの老後の面倒を見るのか、見ないのか
  • 兄弟はいるのか、いないのか

こんな感じで全員の状況が異なるんだから結論も全員異なるはずなのに、
「毎月5.5万円足りない」という一つの結論になるわけがないのです。

言われてみればその通りだなって思うでしょ?
ただ、この「言われてみれば」というのに気付けないのが難しい・・・。

もう少しこの件を深堀りしてみるね。

「5.5万円足りない」という話ですが、
その支出の内訳を見ると驚きの数値があることに気付きます。

それは・・・娯楽費。

娯楽費に毎月8万円使っている、という試算がされているの。
つまり、毎月、娯楽費に8万円使っていて毎月5.5万円の赤字家計だってこと。

普通、赤字になることが分かっていたら8万円の娯楽費を減らすと思うのに、
何で娯楽費が8万円という試算だったのかというと・・・ここでようやく「前提」の話が出てくるんだけど、

「65歳時点で2200万円の資産を持っており、それは30年間で使い切る」
というのが、老後資金の試算における前提になっていたのです。

つまり、この2000万円問題というのは、

65歳時点で貯蓄額がゼロ円の人が2000万円足りない というのではなく、
65歳時点で貯蓄額が2200万円の人が、
死ぬまでの30年間で、
財産の2200万円を使い切るために支出を増やしているため2000万円足りない。

というものになります。

日常生活を普通に送る場合の収支が赤字なのではなく、
既に貯めている財産を使い切る為に支出を増やした場合、収入を超えた支出になるよという、
そんなの当たり前でしょということに、世間は騒いでいたということになるのです。

真実を知ってみれば、
ただ単に金融庁が想定したモデルケースが世間一般と合っておらず、
何の役にも立たない情報だったというだけだったのです。

なので、僕たちは「結論を導いた前提を疑う」ことが大切なのです。

前提が「貯蓄額2200万円」でなく「貯蓄額ゼロ円」だとして、
娯楽費が8万円→2万円にしたら、老後ゼロ円問題として終わりになる話だからです。

でも、この「前提を疑う」こと自体が難しい。
僕も、得た情報を何も考えずにそのまま素直に信じてしまうことも多いし。

なので、自信満々に「こうすれば前提を疑えるぞ!騙されないぞ!」と言える絶対的な方法はないんだけれども、こうするといいんじゃないかと思う一つの方法として、

その状況をイメージする

ということかなと思います。

今回の2000万円問題でいえば、
自分が65歳になった時をイメージすると、自然と湧いてくる疑問があると思うわけです。

例えば・・・

  • その時には子どもは成人してお金は掛からないから、奥さんと二人だけの生活か。あれ?試算だと支出が26万円ってなってるけど、そんなに使わないんじゃないか?
  • 持ち家のローンは返し終わってるから住宅費は掛からないよな。
  • 退職金が入ってくるから、資産は数千万円持ってるはず。
  • 父親が90歳になってるから生きていれば老人ホームかな。だとすると毎月20万円は支出が増えるよ。

とかとか、色々と思い付くと思うのです。

そうすると「あれ?そもそもこんな試算できるの?」という疑問が湧いてきやすくなるし、
「何か前提がないと試算できないはず。どんな前提なんだろう?」
と気付きやすくなるのではないかと思うのです。

まとめ

今回取り上げた「2000万円問題」について、ヨシはどう思った?

前提を疑ってみると、国が発表した「老後に2000万円足りない」という内容は、僕たちの生活に一切何の役にも立たない、極論するとデタラメな話だったように聞こえませんか?

そもそも、何でこんなデタラメなことが起こるのかというと、
二つのパターンがあると僕は思っています。

一つは、マスコミが切り取り報道をするから。

もう一つは、最初に結論ありきで、その結論にとって都合の良い部分だけを採用したり、都合の良い条件を作るから。

前者については、切り取りなので全文(つまりは切り取りの前後)をしっかりと押さえることで騙されにくくなります。
もし一部分の文章や発言だけを紹介している場合、その前後にどういうことが書かれているのかを押さえると全然印象が変わることがあります。

後者については、そもそもの前提は何だろう?その前提は正しいのかな?と考えることで騙されにくくなります。
前提を疑うためには、そのシチュエーションを具体的にイメージしてみるのが宜しいのではないか、と。

このご時世、情報が溢れまくっていて、何が正しいのか判断するのが非常に難しい。
そういう中で、少しでも騙されないために必要のは、結局自分の頭で考えることしかないのです。
そして、自分の頭で考えることの一つとして「前提は正しいのか?」という質問があるように思います。
なかなか難しいんだけど、こういう癖を付けないと騙されてしまうので共にがんばっていきたいなと、そう思うのでした。

ちなみに・・・自分の空手の稽古も、前提をどこまで疑えるかが僕のテーマとなっています。
難しいのよ~、これが。。。

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